恋愛小説「シンギュラリティ」⑨

   

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恋愛小説「シンギュラリティ」①
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困りきった顔の竹部は心なしか怯えているようだった。
「電源が…おちないんです…」
「え?」
竹部は言いにくそうに言葉を続けた。
「何度きってもきっても、自分の電源が、落ちないんです…この一週間ずっと」
わたしは混乱した。
そんなこと、今まで一度もなかった。
「オッドハウスに連絡したんですが、下総先生はいらっしゃらないそうで…明日まで待てと」
竹部が申し訳なさそうにする。
「変ね……パーツが古くなったのかしら」
「いいえ、自己点検では問題ありません…」
「…」
「京子さん、中入らないと冷えるよ」
それまで黙って話を聞いていた水沼が口を開いた。外はもう寒くなっていた。
竹部もそれを聞いてようやく動く気になったのか、ハッとした顔をしていた。

「べつに、横になる必要ないんですよ?」
竹部をベッドに押し込むわたしに、彼は遠慮がちに言った。
「わかならいわ、すこしでもパーツの摩耗を防ぎましょう」
そうわたしが大真面目に言うと竹部は苦笑した。
優しいんですね。とも付け加えた。
竹部の調子が悪くなるなんてことは、ほとんどなかったので動揺を隠せない。

「関係ないんじゃないかな」

その場の空気を水沼の声がつんざく。
わたしが思わず振り返ると、寝室のドアに寄りかかってこちらを見ていた。
「京子さん、なんか飲んだほうがいいよ、水分が不足してる」
「…ええ、今行く」
わたしは水沼に続いて部屋を後にした。

わたしはそのあと、デートの疲れかすぐに眠ってしまった。
深夜、眼をさまして横を見ると、竹部がいなくなっていた。
「竹部…?」
わたしは不思議に思って起き上がると、竹部の居場所を探した。

作業場では水沼が寝ているはずだ。
竹部がいないことを水沼に伝えようと、作業場の扉を開けた。

「ねえ、水ぬ…」

そう声をかけようとした時だった。
そこには二人の人影が見えた。

「なに、してるの……」

にわかに信じられなかった。
竹部が水沼の緊急停止ボタンを押しそうになっていた。

つづく
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