恋愛小説 シンギュラリティ⑤

      2018/10/16

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恋愛小説「シンギュラリティ」①
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「そんなに竹部さんが好きなの」
助手席でタブレットを必死で操作するわたしを横目に、水沼は笑った。
「真似しようか、ほら、あーあー竹部です」
そんなことを言って竹部の声を再生してみせるので、うるさいなと答える。
はは、と水沼は笑う。

今の若い子はこんな感じが好みなのか…と水沼の顔を見る。
オッドハウスのアンドロイドは毎回膨大な量のアンケートにもとづいて作られている。
10代から40代までの女性の意見を参考に、そのときそのときの理想の彼氏像に作られると言うわけだ。
特に10代20代の意見はひときわ大切にしていると聞いている。

わたしはタブレットをいじるのを中断した。
「…思ってたのとだいぶ違うわ」
わたしは水沼を見たままそう呟いた。
「そう? 嫌い?」
水沼がわき見をすると車自体がよろめくのでわたしは悲鳴をあげた。
竹部はこんなことがない。よそ見をしても確実な運転ができる。
「…わたし、あなたのこと少し、知る必要があるわね」
そういってタブレットをスリープにする。

あなたっていうか、世の女の子の理想について。

わたしがそう付け加えると、水沼が不思議そうに笑う。
またわき見運転をしそうになるので、わたしは前見て!と叫ぶ。
「はいはい…」
だれかに前を見て運転しろと言うのなんて何年振りだろう。
自動運転が当たり前の時代に、何をやっているんだとため息が出る。

でも、こういうリアルを世の女の子が欲しているなら、知るべきだ。
わたしは楽しそうに運転をする水沼の横顔を見ながらそう考えた。

「どうしてドライブしようと思ったの?」
助手席でわたしがおとなしくなったのを確認すると、水沼が嬉しそうに答えた。
「俺が好きだからかな」
すっかり自動運転ばかりになった環状線。オレンジの明かりは昔と何も変わらない。
アンドロイドがわざわざハンドルを握っている型のものなどもはや珍しい。
「普通女の子は空を飛びたがるものじゃないの?」
わたしは上を指差した。
上空には空を飛ぶ車のための道も整備されているのだ。
ふつうデートコースといえばそちらだろう。見える景色が違う。
「でも俺はこっち派なの」
そういうと水沼がアクセルを強く踏む。
ギュンと音を立てて彼の車が音を立てる。わたしの体に重力が強くかかる。

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